なぜ僕はいつもイビサ島にいるのか(3/3)


 

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安全こそ、現代の最高の観光ツール

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安全面で考えれば、こんなに治安のいい島もないだろう。

アジアのどこのリゾートに行っても、ハワイやカリブなどのアメリカ方面のビーチに行っても、必ずモノ売りが現れる。
僕は最近のイビサで、モノ売りを見たことがない。
それは、観光立国を目指すこの地域の、あらゆる人々の大きな意思を感じる。
安全性こそ現代の最高の観光ツールだということを、よく知っているのである。

当たり前だが、だからと言って気を抜いてはいけない。ここは、ディズニーランドではない。

危険は、どの国にもあり、もちろん日本だって例外ではない。
しかし、日本人に人気のリゾートであるバリ島やプーケットなどと比べて、イビサは相対的に安全であり、また太古のヨーロッパが垣間見える町並みの歴史が、近年急速に開発され歪んだアジアリゾートと違い、ロマンティックなのは言うまでもない。

個人的な僕のイビサでの過ごし方は、なにはなくてもレンタカー。島内のすべてのビーチを廻って廻って、また廻る。

夏の早いシーズンには、東側のビーチを中心に廻り、8月も後半になると東側のビーチに藻が増えるので、北側のビーチまでわざわざ出向く。

もちろん夕方にはサンセットを見るために西側のビーチに向い週末にはベニラスへ遊びに行く。

時差ボケで眠いならビーチの木陰で眠れば、この島の地中海性気候が毛布代わり。

おなかが空いたら、チリンギートと呼ばれる海の家で、生ハムとパエリア。ビーチマッサージも楽しみのひとつ。

さすがの僕もしたことはないが、強者は、釣りどころか釣り船をヒッチハイクし、違うビーチへと向かうらしい。

それほど、この島には様々な顔を持ったビーチが、50以上もある。だから、ひとつひとつ見て回れば、絶対に自分のお気に入りのビーチに出会うことだろう。

おっと、大事なことを忘れてました。この島のスタート時間は、とても遅い。

スペインはヨーロッパの中でもスロースタートな国として有名だが、イビサはもっとスロー。午前中は寝ているぐらいがちょうどよい。
お昼前後に起きだして、エスプレッソか、バレンシアのフレッシュ・オレンジジュースを飲んで、眼をさます。季節にもよるが、午前中は曇りのことが多いのも、この島の特徴。

スロースタートに向いている天候である。

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農家に泊まり、その畑の作物を朝食に

宿泊施設は、同行者の人数と嗜好により大きく異なる。

イギリスやドイツのクラブ・クレイジー達は、金曜の夜中にイビサについて、レンタカーだけ借りて、そのままクラブに突入。朝まで遊んで、昼間はビーチで寝て、夜はまた夜通し遊び、日曜の飛行機で国に帰る者も多い。これだと、金土日とイビサで遊んで、ホテルは必要ない。

友人たちとひと夏ヴィラを借りて楽しむのもいいが、はじめてのイビサは、ホテルがいいだろう。

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最近の僕のお気に入りのホテルは、アトサロ。街から離れた北のアトサロ山に突如と建つアグロツーリズモである。
このアグロツーリズモとは、ヨーロッパ全土のあたらしいホテルカルチャーで、その名の通り、農家のなかに宿泊し、その畑で採れた作物を料理で出すのを基本にしている。英語では、ルーラル・ツーリズムと呼ばれている。

前述もしたが、いまや世界一のレストランとなった、同じスペイン・カタルーニャ地方の「エルブリ」はセヴィリアにアグロツーリズモのホテルを作り、「ニューズウィーク」に、世界一のブレックファスト・レストランの称号をもらったばかり。

この小さな島のイビサでも、ここ3~4年でアグロツーリズモの名を冠した宿泊施設は、5軒以上建った。10年前のホテルトレンドがデザインホテルだとしたら、いまのトレンドは、間違いなくこのアグロツーリズモである。

取れたての食材を使ってコンテンポラリー・スパニッシュフードを出すアトサロは、宿泊しなくともレストランに訪れる価値は十分にある。屋外ラウンジのパーティもご機嫌だ。

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シーズンに一度は大暴れ

夜は、もちろん!遊びに出る。

営業が不安定なDC10が空いてれば昼間から出向くし、プリヴィレッジ、アムネシア、パチャ、スペースと大箱で楽しそうなパーティをやっていれば、シーズンに一度は大暴れに行く。

クリームやマヌミッション、シークレットサンデーズやディスコ・インヴェーダーズなど、世界中で話題のパーティが、夏はイビサに大集合。
言うならば、パーティ業界のワールドカップだ。これは行かない手はない。

また、クラブに行く前に、ラウンジでウォーミングアップ。
目的のクラブの場所にあわせてラウンジも選ぶ。パチャに行くなら、ビーフォー。老舗のラウンジですが、去年から、突然寿司屋(スシラウンジ)になりました(!)。
BPM130オーバーのテンポが速い楽曲に身を任せるように踊る90年代スタイルだけではなく、ゆっくりくつろぎながら、揺れるように音楽を楽しむラウンジは、世界的な夜遊びの主流になりつつある。
気がつくとクラブに行くのを忘れ、ラウンジで朝まで過ごすことも多々あります。
またクラブで爆裂して、最後にラウンジでクールダウンも好きな遊び方。


そして、これが肝心。 イビサに行ったら、あまり予定を決めないことだ。

夕日がきれいだと思ったら、西側のビーチやカフェに行けばいいし、雲が多そうだったら、東側のビーチパーティに行けばいい。時差ボケを利用したシエスタ(昼寝)を楽しめなくては、一人前のイビサ旅行者にはなれない。自然の流れに沿う。これがイビサの基本である。

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もっと多面的に生きること、もっと自然と文化を愛すること

時代は、間違いなく一極的から多面的に向かっている。  
だから、僕らの行く先も旅のスタイルも、ショッピング、ビーチ、デザインされたホテルといった今までの一極的トラベル・スタイルから、もっと多面的に楽しむようになった方がいい。
まあ、簡単に言えば、もっと旅行の中身を欲張りましょう!なのである。

ただしそれは、お金をかけましょう、ということではない。
ハイシーズンのロンドン→イビサの航空運賃は、1万円台で購入できるものが多い。情報端末をちょっと使えば、安価で安全で素早く見知らぬ世界へと誘ってくれるのだ。


すなわち21世紀的「スマート・トラベル」。  
そのゲートウエイとして、僕は日本人に、いまイビサ島をお勧めする。  
そしてイビサは、もっと多面的に生きること、もっと自然と文化を愛することを、きっと僕らに、誰よりもやさしく教えてくれるはずである。

GO! IBIZA。まだ夏に間に合います。

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【 PROFILE 】
高城 剛 (たかしろ つよし)

映像作家・DJ。
1964年東京生まれ。日大芸術学部在学中「東京国際ビデオ・ビエンナーレ」でグランプリ受賞。六本木ヒルズのCMやルイ・ヴィトンのジャパニメーション・プロデュースなど、話題の映像を次々手がける。総務省情報通信審議会専門委員、東映アニメーション取締役など要職を歴任している。主な著書に『ヤバイぜ!デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島新書)ほか多数。



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